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いよいよ消費税が2019年10月から10%となります。消費者としては頭を悩ませる問題ですが、キャッシュレス決済普及のために政府が打つ施策も気になるところですよね。今回は、キャッシュレス決済の未来について詳しく解説します。

10%への消費税率引き上げに伴う経済対策のキャッシュレス決済の促進


個人消費者には、景気回復の実感がないと感じる方が多い一方で、内閣府はいざなぎ景気を超える戦後2番目の長さの景気回復であると発表しました。そんな日本の経済情勢の中で、目下景気の落ち込みが懸念されている要素は、2019年10月に行われる消費税の増税です。現状経過措置として8%の消費税となっているものが、いよいよ10%の大台に達します。

5%から8%の増税時のインパクトも大きかったですが、今回の増税も消費に影響を与えるとされています。なぜなら、1万円のものを購入した場合、消費税は1,000円とこれまでの100円台から1桁上がった金額となってしまうからです。もちろん、購入金額が増えれば増えるほど消費税の額も高くなるので、「消費が冷え込んでしまうのではないか」という不安がある人も多いかもしれません。個人はもちろん、各企業、政府内でも話題となっています。

政府は、増税による景気の落ち込みを防いだり、別途課題となっているキャッシュレスの普及を推進したりするために、キャッシュレス決済を行った場合に、ポイント還元を行う施策を検討しています。「なぜキャッシュレスでポイント還元?」となる方も少なくないでしょう。実は、日本のキャッシュレスの普及が他国より圧倒的に遅れていることをご存じでしょうか?

特に近隣諸国との差は非常に大きく、韓国では約90%、中国では約60%にも達しています。また、ヨーロッパ地域のイギリスにおいても、半数以上の約55%がキャッシュレス化しているのです。一方で、日本のキャッシュレスは全く進んでおらず、約20%とかなり出遅れています。

キャッシュレス化が促進されれば、さまざまなメリットがあります。例えば、顧客の利便性の向上です。キャッシュレスであるため財布に小銭などを持つ必要がなくなり、小売店での買い物の際にレジでお札や小銭を探して時間をかけてしまうことがなくなるでしょう。2020年には東京オリンピックが控えており、キャッシュレスが浸透している海外からの顧客にとっても日本での利便性が高まれば、消費も促進されるのではないでしょうか。また、お金を引き出しするために銀行に行く時間や順番待ちをする手間も省けます。さらに、金融機関のコスト削減も期待できるでしょう。出金手数料などの費用を銀行側が負担していることも多く、キャッシュレスでATMの利用頻度が減少すれば、大幅なコスト削減をすることができるでしょう。

また、そもそも現金を管理するための人件費など、キャッシュレスが実現すれば銀行としても大きなメリットがあるのです。ただ、これだけメリットが大きいことがわかっていながら、なぜ日本ではキャッシュレスが普及しなかったのでしょうか?それは、規格が多すぎるということが一つの原因です。現在、日本ではさまざまな電子マネーが広がっており、交通系電子マネーに限っても10種類程度存在しています。

規格が統一されていないことで、消費者としてはどれを使えばいいのかわかりづらい状態になっているのです。また、これによって小売店側にもデメリットが生じます。電子マネーやクレジットを取り扱うための手数料が高く、導入するためのコストもかかってしまいがちです。大企業であれば対応できたとしても、地域の小さな小売店などでは、なかなか導入に踏み込めないなどの問題があります。このような要因で、日本はキャッシュレス後進国となっているのです。

政府が考えるポイント還元の施策


消費冷え込み対策、キャッシュレス化の推進のために、政府では一部のキャッシュレスでの支払いの際にポイント還元を行う施策を検討しています。主なポイントは以下の通りです。

 ・中小の小売店でキャッシュレス決済する場合、購入額の2%を購入者に還元
 ・小売店が決済端末を導入する費用、決済事業者のポイント還元にかかる費用は国が補助
 ・小売店の導入コストを下げるため、手数料を3.25%程度に抑えたカード会社だけにポイント還元を認める

あくまでも消費税増税の大きなダメージを受けるとされる中小小売店に限るものの、キャッシュレス決済をすることで購入額の2%が消費者に還元されることになると想定されています。これによって、増税分の2%を還元することができるようにしようとしているのです。ただし、この施策を完全なものとするためには、中小小売店がキャッシュレスへの対応をすることが必要不可欠となります。

しかし、現状ではコストの関係で導入できていないという小売店が非常に多い傾向です。そのため、中小小売店のキャッシュレス導入に拍車をかけるために、導入費用の一部を政府が補助する方針で進めています。さらに、クレジットカード会社や電子マネー事業者にとって、このポイント還元というのは負担にしかなりません。これらの還元分である2%についても、同様に政府が補助を出すことが検討されているのです。

これによって、企業だけが大きな痛みを受けることがないとされています。また、キャッシュレスに対応することができるようになれば、現金のみのときと比べても消費が向上すると予想されているのです。なお、すべての決済事業者がこの2%のポイント還元を行うことができるわけではなく、一定の条件が付与される予定となっています。

例えば、小売店の負担となりやすい、クレジットや電子マネーの手数料を3.25%程度に抑えられた事業者だけが参入できるようになります。対応できない場合、他の決済事業者と差をつけられることとなるため、多くの決済事業者がこの施策に対応せざるを得ないことが予想できるでしょう。また、消費者にとっても完全にメリットがあるというわけではありません。

現在の政府の想定としては、記名式のキャッシュレス決済にのみポイント付与ができるようになる話が進められています。例えば、鉄道会社などが採用している無記名式の交通系ICカードの場合、発行が簡単であるというメリットがあるものの、特定のポイントを付与することが難しいのです。現在においても、交通系ICカードの無記名式はポイント優遇制度などがありません。

しかし、記名式の交通系ICカードでは利用金額や利用回数に応じて、ポイントなどが加算されるサービスが提供されている事例があります。もし、消費税増税後のキャッシュレス決済のポイント還元を受けたいと思うのならば、記名式の電子マネーやそもそも記名が必要なクレジットカードなどの導入が必要となると想定されるでしょう。

キャッシュレス決済の種類 QRコード決済の普及が予想される理由


ここまでキャッシュレス決済とご紹介してきましたが、クレジットカードや交通系ICカード以外にも、さまざまな種類の決済方法があります。主な決済方法は以下の通りです。

・銀行預金
・電子マネー
・仮想通貨
・電子通貨

それぞれの特徴についてご紹介します。

〇銀行預金
直接銀行口座から支払われるデビットカードや、定期的に引き落としされるクレジットカードなどがこれにあたります。カードと銀行預金が紐づいているのが特徴です。

〇電子マネー
交通系ICカードなどの企業や団体が独自のルールで発行しています。現金やクレジットカードで電子マネーを購入して、それを決済に充てられるのが一般的です。日本ではポイント制度やポイントから電子マネーへの還元など、差別化をするためにさまざまなサービスが展開されています。日本以外では、特にアジアやアフリカなどで普及している傾向です。

〇仮想通貨
決済手段として、普及はまだまだ途上ですが、国際送金などの場合は銀行からの送金に比べて手数料が安くなる傾向があるので注目度が高いです。しかし、他のキャッシュレスに比べると日常の買い物のための利用として普及する可能性は低いと想定されています。

〇電子通貨
中央銀行が発行するデジタル式の通貨です。デジタルですので、お札や硬貨といった現物が存在していないのが特徴です。製造コストや輸入コストがなくなるうえに、通貨量や通貨の流れが正確につかめるようになります。いくつかの国で推進している流れがありますが、まだまだ普及するまでには時間がかかりそうです。

このように、キャッシュレスの決済方法としては、大きく4つに分けることができます。それと同様に、支払い方についてもさまざまな方法があり、特にQRコードを用いた支払い方法についてPayPayのキャンペーンでも大きく話題になりました通り近年注目されています。かつて、キャッシュレスの支払いと言えば、クレジットカード一択でした。そして、クレジットカードの中でも非接触型やカードリーダータイプなどさまざまなものがあります。

しかし、近年ではスマートフォンの普及によって、スマホを使ってQRコードなどを読み込んで決済するものが注目されています。大手IT会社やSNS通信会社など、さまざまな企業がQR決済事業へ参入していることからも、今後の拡大に期待が持てるでしょう。

QR決済が注目されている理由としては、店舗側が簡単に導入することができるからです。

通常、クレジットカードなどの決済を導入する場合、接触型であっても非接触型であっても、決済をするためには専用端末を導入する必要があります。これらの導入にコストがかかってしまうことから、中小の小売店はなかなか導入に踏み込めなかったのです。一方、QRコードさえ用意しておけば、端末などが必要ありません。

利用者がQRコードを読み込んでくれさえすれば、決済を完了させることができるので、従来のクレジットカードなどと比べて導入へのハードルが非常に低いといえるでしょう。このような理由によって、今後QRコード決済が普及していくと予想されているのです。

今後普及を期待されるキャッシュレス決済は「生体認証」


今後の展望としては、QRコード決済が幅広く普及する可能性があります。なぜなら、カード決済に比べて消費者にとってはリスクが少なく、事業者にとっては導入コストを抑えることができるなどのメリットがあるからです。しかし長期的に見た場合、QRコード決済に代わって生体認証が普及していく可能性があるでしょう。

生体認証というのは、個人でしか特定できないような情報を用いて支払い決済をしていく方法です。カードはもちろんのこと、スマホすら必要なく体一つで支払いを完結させることができるので、ある意味究極のキャッシュレスといえるかもしれません。現在、実用可能なレベルの生体認証の方法としては、静脈や指紋、そして身体の中にマイクロチップを埋め込む方法などが検討されています。

コンビニ業界では、静脈認証による支払い決済の試験運用が進められています。事前に手のひらなどの静脈パターンを登録しておくことで、手のひらをかざすだけで支払い決済を完結させることができるのです。試験導入では、静脈認証に合わせて生年月日などを入力する必要がありますが、静脈認証だけで支払いができるようになれば、非常に便利なサービスとなるといえるでしょう。

また、スウェーデンの国営鉄道では、すでにマイクロチップインプラントを利用した乗車料金の支払いサービスを試験的に導入しています。マイクロチップは、注射器を使って簡単に埋め込むことができます。また、外から見えることもなく、異物感もないため、何事もなく日常生活を送ることができるでしょう。しかし、長期的に見たときの人体への影響などがまだ不明なので、今はまだ試験運用に留まっています。

生体認証のメリットは、個人個人によって全く異なります。さらに、「変化しにくく真似されないスキミング」などのリスクがないなどの理由によって、「偽造」「なりすまし」がしにくくなるのです。クレジットカードなどと比べて、非常に高いセキュリティを確保できるといえるでしょう。

このように、現在主流になっているクレジットカードから直近ではQRコード決済の普及が広がっていき、さらに現在試験運用されている生体認証決済が、実用に耐えうると判断された場合、カード決済やQRコード決済を抑えて生体認証決済が広く普及すると考えられるでしょう。

まとめ


日本政府は、消費税増税の消費冷え込み対策として、キャッシュレス決済時のポイント還元などを検討しています。キャッシュレス化を推進する背景としては、日本の普及率が他国と比べてかなり低く、今後普及率を上昇させていきたいからです。現在主流のクレジットカード決済に加えて、今後はスマホで簡単に支払いができる、QRコード決済の普及が広がっていくと想定されています。

今後、世界的に見たとしてもキャッシュレス化の波はさらに大きくなっていくことでしょう。現在、普及率が低い日本においても世界から取り残されないためにもキャッシュレス化の推進は必要不可欠となります。今回の消費税増税対策に合わせてキャッシュレス化を推進するのは当然といえるでしょう。今後、政府がどのように施策を整理していくのか、見逃せませんね。

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