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日本三大メガバンクが、ついにクラウドの導入を開始しました。日本三大メガバンクが、クラウド導入推進に至った理由などについて、詳しくご紹介します。

金融機関の古い体制を一新!クラウドファースト宣言

金融業界といえばセキュリティには最も厳しくかつ保守的な業界です。しかし、フィンテックなど、IT化の波が押し寄せる中、2016年にM社が先陣を切ってクラウドファーストを宣言しました。クラウドファーストとは、情報システムを設計する際や移行する際などに第一にクラウドサービスの利用を検討することです。

新規システム導入の際には、クラウドで対応することを決めたM社。三大メガバンクの一つM社のこの決定に、国内銀行業界に大きな衝撃が走ったのは言うまでもありません。セキュリティを最重要視する金融業界にとってクラウドの採用は踏み出しづらい領域だったのです。

金融業界で、初めてITシステムが導入されたのは、1960年代のことでした。1965年、I社製のホストコンピューターを利用した日本初のオンライン勘定システムが稼働されました。もちろん、インターネットなどない時代でしたが、オンライン化の結果、窓口業務のスピード化や決算業務の大幅な短縮などを実現しています。これは、「基幹業務処理用のメインフレーム」という汎用大型コンピューターの導入によって実現しました。世界に先駆けた技術であったことは言うまでもありません。メインフレームを基盤とした銀行システムは、歴史が非常に長く、何よりも信頼性を重視したものなのです。

銀行の事業は多岐にわたります。勘定系システムを軸に、各支店や外国為替、その他各種関連事業などさまざまなシステムが絡み合うように連動し機能しています。もちろん、銀行のシステム自体が独自の仕様ですが、年月の経過や銀行の吸収合併などにより、システムは肥大化の一途をたどっています。

銀行が吸収合併しようとも、もともとあった銀行のカードなどはそのまま使用できるようにしなければなりません。顧客の利便性を重視しなければならない点から、古い時代のものにもある程度の順応性も求められます。そうした金融業界において、基幹システムにクラウドを採用することはタブー視されてきました。

それでは、なぜM社がクラウド化に舵を切ったのでしょうか。それは、費用を抑えたうえで最新技術を取り入れるには、クラウド化なくして実現できないと考えたからなのです。

クラウド化に舵切りした背景とは?

クラウドファースト宣言をしたM社を始め、三大メガバンクが一斉にクラウド導入へと舵切りした背景としては、FISCがクラウド利用を前提として基準改定を行ったことにありました。FISCとは、The Center for Financial Industry Information Systems(公益財団法人 金融情報システムセンター)の略称であり、金融情報システムに関するさまざまな調査や研究を行っている団体です。各金融会社は、FISCが発行する調査レポート、安全対策基準や手順書、解説書などを用いて事業運営を行っています。

特に、FISC安全対策基準は、オンライン金融サービスにおいて、システム構築のうえで重要な基準とされています。FISCは、安全対策基準の改訂を検討する際に、各業界を含めた有識者会議を行いました。そのなかに、AWSが参加し、AWS主導で安全対策基準が改正されました。

FISCがクラウドの利用を前提として基準改定を行った要因の一つとしては、クラウドを使うことで、フィンテック企業が安価で金融機関とほぼ同様のサービスを提供し始めているということにあります。これらの技術によって、サービスがパーツごとに安価で提供されることになると、銀行の存在価値が低下してしまうと危惧され始めているからです。

それを避けるために、銀行のITシステム自体もクラウド化を促進して、スタートアップとの協業を実現できるようにしたいという思惑があったことも大きな要因となっています。かくして、三大メガバンクが率先してクラウド化の採用を表明したことを契機に、金融ITにクラウド導入の流れが一気に押し寄せたのです。

一般企業もクラウド化するときが来た

銀行業界のみならず、一般企業においても進化するIT技術のメリットを最大限に享受するためにクラウドファーストを推進する企業が増えています。とはいえ、一般企業においてもクラウドシステムの採用は、まだスタート地点に立っているにすぎません。現在、主流となっているクラウドサービスは、断片的なものが多く、企業が導入したとしても事業全体からすると、ほんの一部分にすぎないでしょう。そもそもクラウドの導入に足踏みしている企業も依然として多いのが現状です。

クラウド導入には、依然として、情報セキュリティ上の不安があるという声も聞かれます。未知のシステムであるがゆえに、二の足を踏んでいる企業も多いようです。ただし、クラウドシステムの導入に積極的な企業はどんどん増えていることもまた事実です。運用事例や活用事例が増えていくことによって、導入に踏み込むためのハードルは徐々に低くなっていくことが予想されます。

また、銀行のシステム同様に、自社で独自にIT環境を構築している企業も少なくありません。そういった企業の場合、一部システムやサイトがブラックボックス化していることも少なくありません。そうした場合、クラウド環境の開発を進めるためには、さまざまな対策が必要になるでしょう。これらにかけるコストを考えると、なかなか移行できないと考えている企業も存在します。

とはいえ、将来的にはさまざまなシステムのクラウド化は必須といえます。金融機関のクラウド化推進の流れと同様に一般企業においても、自前の仕組みを継続するのではなく、クラウド化について本格的に考えるときがきたのではないでしょうか。クラウドを利用すれば、拡張性や柔軟性に優れたインフラ基盤を実装することができるようになります。また、スピード感のあるビジネスを実現するためにも、欠かすことができない技術であるといえるでしょう。もちろん、クラウド導入とあわせてセキュリティに関しては十分な対策をしておく必要はありますが、未来に向けて徐々に舵を切っていくことが求められています。

国内三大メガバンクが、相次ぎクラウド導入を表明

国内における三大メガバンクが、相次いでクラウド導入を表明しました。そのため、国内金融機関全体で、クラウドへの移行の検討が進められています。メインフレームなどの基幹部分もすべてクラウド化というのは、すぐにできないかもしれません。しかし、今後のクラウド化の流れは、さらに加速していくことでしょう。金融機関だけではなく、一般企業においても、この流れは不可避といえます。国内のみならず、世界のIT情勢に乗り遅れないためにも積極的にクラウドの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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