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裁量労働制とは?メリット、デメリットから考えてみる

公開日 : 2018年07月17日
更新日 : 2023年09月14日

昨今、「裁量労働制」というものが働き方改革の議論の中で注目を集めています。「裁量労働制という言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にはよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。
裁量労働制は、労働者が仕事の進め方や時間配分を決定し、効率的に働いて成果を評価される制度として期待されています。しかし一方で、長時間労働につながりやすいという問題も指摘されているのです。
ここでは、裁量労働制の仕組みやメリットとデメリットについて、分かりやすく解説いたします。

裁量労働制とは?メリット、デメリットから考えてみる

目次

  1. 裁量労働制とは?
  2. 裁量労働制の対象業務
  3. 裁量労働制のメリット・デメリット
  4. 働き方改革で柔軟な就労形態が求められている

裁量労働制とは?

裁量労働制とは、実際の労働時間ではなく、あらかじめ決定した「みなし時間」を基準に給与を支払う仕組みのことです。
例えば、みなし時間が1日8時間の場合、4時間で仕事を終わらせても2時間余計に残業しても、「8時間働いた」として処理されます。
労働時間ではなく仕事の成果を評価される仕組みのため、効率的に働くことで実労働時間を短縮することも可能です。勤務時間帯は決められず、出退勤も自由になります。裁量労働制であっても休日を設ける必要はあるので、休日に働いた場合は別途休日手当を算出して支払われます。

また36協定を結んでいる場合、法定労働時間(1日8時間/週40時間)を超えると割増賃金を支払う必要があります。

裁量労働制の導入には、会社側と労働者側が労使協定を結ぶ必要があるため、会社側が一方的に導入することはできません。みなし時間や苦情処理措置などを定め、労働基準監督署に届け出ることで初めて導入することができます。

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裁量労働制の対象業務

裁量労働制は、どのような業務にも取り入れられるものではありません。業務の性質上、業務遂行の方法を労働者の裁量にゆだねる必要のある仕事に適用されます。
具体的には、次の2種類に分けられます。

専門業務型裁量労働制

弁護士、税理士、研究開発、情報システムの分析・設計、取材・編集、デザイナー、コピーライター、プロデューサー・ディレクター、ゲーム開発、システムコンサルタント、インテリアコーディネーター、証券アナリスト、大学教授など19職種が対象。

企画業務型裁量労働制

企業の中核を担う部門で、企画立案や調査、分析業務に携わるホワイトカラー。

企画業務型裁量労働制を導入する場合は、労使委員会を設置し、5分の4以上の多数決を決議するなど、厳格な要件を満たす必要がある。

裁量労働制のメリット・デメリット

メリット

裁量労働制の最大のメリットは、労働時間や業務遂行の方法を自分で決定できるため、融通が利く点でしょう。
朝はスポーツクラブに行ったり、子どもの世話をしてから出勤したりといったように、ライフスタイルに合わせて出勤時間を調整することが可能です。成果を上げれば問題ないので、仕事を効率的に短時間で終わらせることができれば、同じ給料をもらいながらプライベートの時間を確保することもできます。
また、スキルを向上させるために勉強時間を確保できるため、専門的な職種に就く人にとっては大きなメリットとなるでしょう。

デメリット

一方デメリットは、みなし時間を超えて労働した場合、残業代が支払われないことにあります。
仕事が立て込んでおり実際は連日10時間以上働いたとしても、既定のみなし時間だけ働いたと処理されるため、残業代が支払われず長時間労働の温床になりやすいというのが実情です。
実際、裁量労働制を「残業代を支払わずに仕事をさせられる」と、都合よく捉えて導入に踏み切る悪質な企業も多数ありました。また、とくに企画やクリエイティブ系の職種の場合、労働者本人も労働時間の概念が薄く、長時間労働に拍車がかかってしまう傾向があります。
裁量労働制では、個人が勤務時間や労働時間を決めるため、チームで仕事をする場合に都合が合いにくい傾向にあります。だからと言って、強制的に勤務時間を決めてしまうと制度の意味がなくなってしまうため、調整が難しいのも事実です。
このように、上手く活用すれば大きな働き方改革となる裁量労働制ですが、現状は数多くの問題点が生じている状況と言えるでしょう。

働き方改革で柔軟な就労形態が求められている

労働人口が減少する日本社会では、女性や高齢者をはじめとする人々の就業率を高めるために、事情や場所にとらわれない「働き方改革」の推進が求められています。
今回解説した裁量労働制以外にも、出退勤時間のみ労働者に判断をゆだねるフレックスタイム制や、育児・介護に携わる労働者を対象にした短時間勤務、ITを活用した業務効率化など、働き方改革には様々な手法が存在します。
また、企業に出勤せずITツールを活用して、自宅などの離れた場所から仕事を行う「テレワーク」も、大手企業を中心に導入が進められています。
テレワークを導入すれば、能力が高いものの、様々な事情によりオフィスで8時間勤務するのが難しい人材を採用することができますし、台風や大雨などで出社が困難な場合でも自宅で仕事にあたることができます。また、経営的観点からもオフィス賃料や通勤費を削減できるなど、大きなインパクトを与えることになるのです。

そのような多様な働き方が今後ますます推進されていきますが、同時にそれらの勤怠をきちんと管理していくことが必要になってきます。

とくに2019年4月から働き方改革関連法案の施行で、労務管理が厳しくなっています。

まだシステムを見直していない、またはシステムの管理内容に抜け漏れはないかご心配な方は、ぜひ「勤怠システム導入検討クリニック(※申込受付を終了しました)」にお申し込みください。

裁量労働制に限らず、働き方改革を実施する場合は、それぞれのメリット・デメリットを押さえた上で、企業や従業員にとって最適な手法を推進していきましょう。

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