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近年、消費者の興味は、物品を購入する「モノ消費」から体験や経験を購入する「コト消費」に移ってきています。サービス需要が物販の需要を上回り、企業に求められるのがモノづくりからコトづくりに推移していった背景と、コトづくりにおいて企業が取り組むべきポイントについて説明します。

モノからコトへ

「若者の○○離れ」論は、若い世代の可処分所得が低下したことによる物販業界の不況を中心に語られます。しかし、家計調査によれば、消費支出額はバブル期の1980年台後半とほぼ同じ水準を保っています。これは消費者が「お金を使わなくなった」のではなく、消費の傾向が変わったことを表しています。

モノづくりビジネスがこなれて商品がコモディティ化した現在、消費行動は単なる物品の入手にとどまらず、「購入による豊かな体験」や「消費体験そのもの」を求めるものになりつつあります。そして、「モノを買う」消費にとって代わったのが、経験や体験といった「コトを買う」消費への需要です。

コトを仲介するSNS

コト消費を加速させたのが、スマートフォンを中心とするメディア媒体の固有化です。インターネット回線が日本の隅々を網羅し、メディア媒体がパーソナルなものになった結果、誰しもがSNSなどを通じて自分の行動を発信したり、他人の発信をシェアしたりできるようになりました。

そしてSNSのシェア文化は「他者とのつながり」が消費体験の満足度を強化する効果を生み出しました。現在では、物品の購入を「モノを買ったコト」という消費体験として発信する行動が一般化しています。トレンド最先端の商品をいち早く購入して使い始めるまでを写真つきで細かく発信する「開封の儀」や、ワークショップ、謎解きゲームといった体験型コンテンツの参加投稿などが代表的です。

「コトづくり」に求められること

コトづくりに求められるのは、徹底した消費者目線での商品設計です。物販商品であれば製品そのものの良さはもちろん、購入するまでの安心感や満足感、梱包材の質感や開封時の感触、開封後の副資材の処分がストレスフリーであること......など、顧客の消費行動が終始充実するような環境を整えなければなりません。

体験型商品であれば、申し込みの安心感や体験中の適度な負荷、体験後の満足感やSNSでの発信・シェアのしやすさなどをコントロールする必要があります。

おわりに

コトづくりは、まだモノづくりのような体系的な設計ノウハウが未完成です。ユニバーサルデザインやコストパフォーマンスといった評価指標も通用しません。しかし、コトづくりのキモを抑えた事業が規模の大小を問わず高い収益を上げているいま、ビジネスにおける「徹底した消費者目線」が今後の企業戦略に不可欠になっていくことは、確実だと言えるでしょう。

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