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政府が推し進める働き方改革。一億総活躍社会の実現に向けてスタートしたこの計画の目的は、「さまざまな属性や幅広い年齢層でも働きやすい環境の整備」「労働環境の改善による業務効率・生産性の向上」となっています。これまでの勤務スタイルを大胆に変革することで、人材の底上げを図り、日本経済全体を活性化させる狙いがあります。サービス残業や長時間労働に対する見方も厳しくなった昨今、経営サイドはどこまで改革を前に進めているのでしょうか?今回は、働き方改革の取り組み状況を把握する目的でアンケート調査を実施。中小企業における改革に向けた現状と課題を追ってみました。

半数以上が現実的に検討中!中小企業の働き方改革の現状調査の結果

働きやすい環境を整えたい&試験的にやってます。1位「導入検討中」

  • 従業員を確保するために導入を検討しています。募集の目玉にもなるので、今後とりいれていくつもりです。(千葉県・47歳・男性)

  • 今の時代でこの考え方を導入しないこと自体が間違っています。従業員も企業のお客様と考えるならば、従業員の考え方に会社が近づくことが必要です。(香川県・39歳・女性)

  • ワークライフバランスの観点から導入を検討しています。(愛知県・36歳・女性)

  • 生産性の低さが課題になっている時代ですので少しずつでも進めていかないといけません(山形県・35歳・男性)

  • テレワークなどのシステム導入にどの程度費用がかかるのか現在検討中です。(京都府・34歳・男性)

自社では必要なし。2位「導入予定なし」
  • 規模が小さい会社であるため、日頃から問題に目が届きやすく解決に小回りがきく環境であり、改めての取り組みを必要としていない。(北海道・31歳・女性)

  • 自分たちの現場の負担を軽くした際、協力会社などへの負担が大きくなるため。(静岡県・56歳・男性)

  • 建築関係の中小企業。朝材料を積んで現場に行って作業をする。という流れは昔から普遍で、働き方改革とか考える必要を感じない。(兵庫県・58歳・男性)

時代に合わせて既に対応しました。3位「既に導入済」
  • 子育てしながらでも、継続的に働ける会社つくりを行っている。(福岡県・41歳・男性)

  • トータルで業務を完了できれば、会社にいる時間をある程度自由にしても良いとした。(茨城県・70歳・男性)

  • 従業員あっての会社なので働きやすい環境は整えているつもりです。(岡山県・47歳・女性)

従業員にとって働きやすい勤務システムの導入は、企業にとってもプラスになる、と考えているところがかなりの割合を占めるみたいです。従業員目線で働き方を考えることは、良き人材の確保につながると同時に、社会的信用度のアップにもつながります。ワークライフバランスを重視した企業ほど、その取り組みを前向きに考えている実態がうかがえました。

しかし、それまでの勤務体系やシステムの抜本的見直しには、膨大なコスト支出も予想されます。上手くいかなかったときのリスクマネージメントも想定しなければなりません。難しい課題や諸事情によって、必要性を感じても導入に踏み切れない企業もあります。

とはいえ、会社や労働に対する考え方の変化、QOLを重視する昨今の風潮は無視できません。価値観の多様化に伴い、会社も従業員の意向を尊重しなければ、安定した組織運営も難しいでしょう。導入した企業の成功事例が今後増えていけば、これまで導入に二の足を踏んでいた企業も後に続いていくのではないでしょうか。

今後導入したい働き方改革の制度の6割以上が「長時間労働の管理・抑制」「在宅勤務(テレワーク)」の結果に

従業員の負担軽減を目指したい!1位「長時間労働の管理・抑制」
  • 労働時間を有益なものにするためにも、労働時間の管理や抑制は必要です。(大阪府・46歳・女性)

  • 残業をなくすことで、従業員の負担軽減と仕事の効率化がはかれると思います。(埼玉県・27歳・男性)

  • 職員の身心の健康と会社の健全な運営のため、不要な残業などの整理は常に行っていきたいため。(北海道・31歳・男性)

  • これまでは少人数で過重労働が企業の原動力になっていたように感じるが、人材が定着しなかった。今後はプライベートも充実する働き方をスタンダードにしたいと思っている。(福岡県・45歳・女性)

  • 夜中まで働くと次の日の仕事に差し障り、事故に繋がる。休みをしっかり取るのは大切。(大阪府・47歳・女性)

優秀な人材の確保に繋げたい!1位「在宅勤務(テレワーク)」
  • 現在はパソコンがあれば大抵の仕事はできてしまうので、会議や報告などはテレビ電話で済ませてしまえば、在宅勤務も充分可能だと思っています。(埼玉県・27歳・男性)

  • 交通費など出す費用が省けますし、何より時間外勤務、残業代などもカットできる上、従業員がストレスなく働けるというのが大きいと思います。(神奈川県・28歳・女性)

  • 通勤する必要の無い部署や勤務内容であれば、在宅勤務も有効だと思われる。(北海道・47歳・男性)

  • 在宅勤務とフレックス出勤を同時に行い作業効率を図ることができればと考えている。(京都府・37歳・男性)

  • 自宅でも出来る仕事が増えれば効果的に勤務時間を改善できるはず。(山形県・35歳・男性)

優秀な女性社員を離職させたくない!3位「子育て世代の支援」
  • 女性社員の働き方の改革を行いたいので支援の強化をしたい。(北海道・31歳・女性)

  • 女性の方が優秀な人材が集まりやすく、彼女たちを長いスパンでの戦力と考えた時にやはり子育て期間をどうやって支援するかが重要。(広島県・58歳・女性)

  • 子育てをしている人になるべく協力して明るい未来を作りたいからです。(福岡県・30歳・女性)

若い社員のスキルアップに繋げたい!4位「自己啓発の支援」
  • 社員全員が、自分の仕事に自信をもって働けるような自己啓発を行って行きたい。(福岡県・43歳・女性)

  • 自己啓発を支援していくことで、ワークライフバランスができると思います。(岡山県・43歳・女性)

オフィスにとらわれずに効率化を目指す!5位「サテライトオフィス勤務」
  • いつでも、どこでも、隙間時間にどんなデバイスからも作業ができる効率的なシステムが欲しい。(兵庫県・59歳・男性)

  • 遠くから出勤している方の負担軽減や落ち着いた郊外で仕事したいという意見がよく聞かれるため。(静岡県・56歳・男性)

もっとも多かったのが、「長時間労働の管理・抑制」と「在宅勤務」でした。これまでの意識では、過重労働や長時間労働があっても問題視されない傾向がありました。しかし、従業員の労務管理を無視したスタイルを続けていては、良き人材の獲得、戦力の確保はままなりません。労働時間を短縮し、従業員の身体的・精神的負担を軽減する努力の継続、それに向けた環境整備が企業サイドに求められます。

パソコンひとつあればすべての業務が完結できる職場では、在宅勤務(テレワーク)の導入も進みやすいです。従業員としては通勤負担の軽減につながり、企業側は交通費のカットといったメリットもあります。自宅作業でストレスも比較的少なくなり、自分ペースでの作業ができれば、多くの従業員が「この会社は働きやすい」と感じるでしょう。そのような評判が広まることで、有能な人材も集まりやすくなります。この点は、5位の「サテライトオフィス勤務」でも言えることです。

また、最近では女性の社会進出も顕著となっています。女性が働きやすい環境を確保するには、出産育児後の職場復帰、育休取得のしやすさなども重要な視点でしょう。「子育てに頑張るママを応援する企業」という評価が広まれば、社会的信用度も高くなることが期待されます。

そのほかの取り組みとして、「自己啓発の支援」があります。「資格取得や語学研修、セミナー受講などを企業サイドが後押しする。」「それによって個々の社員がスキルアップする。」「個人の成績向上で企業側に還元。」この良好なサイクルが企業風土として根付けば、従業員にとっても組織にとってもプラスです。働きやすい環境整備は、決してコスト負担ではなく、将来への投資と考えて良いでしょう。

働き方改革で最も課題になることは「業務に支障がないか」

今まで通りの業務を保てるかが心配...。1位「業務に支障がないか」

  • まだ一部の部門でしか導入していないので、どれだけ業務に支障が出るか分からない。(奈良県・41歳・男性)

  • 育休や有給を取ると、どうしても業務に影響を及ぼすので、そこを改善するのが大きな課題だと思います。(千葉県・59歳・女性)

  • 特に今の働き方で支障は無いのだが、今後更に会社の規模を大きくしていく際には業務に支障が出ないよう気をつけたいから。(兵庫県・44歳・男性)

  • 例えば、緊急に会議やミーティング、現地不具合対応等が発生したときの対応が問題となりうる。(茨城県・49歳・男性)

  • 改革によりスタッフの主体性を高めることが課題の一つです。(埼玉県・43歳・男性)

一部の部署だけで実現できても意味がない...。2位「業種や職種的に実現できるか」
  • 経営側としては、ワークにバランスの重きを置いている。(福岡県・45歳・男性)

  • やはりお客様に対してのサービスに支障がでないかが一番の心配です。(奈良県・41歳・男性)

  • ヒトと直接顔見合わせて行うビジネス形態なので、うまく稼働できるかが分からない。(埼玉県・45歳・女性)

既存システムへの悪影響が心配...。3位「既存システムの変更」
  • 人の入れ替わりが激しくシステムの見直しが出来る程人材が習熟していない。この部分を改めるために長く働ける環境が必要。(愛知県・37歳・男性)

  • 今までに成立していたシステムを変更することは容易ではない。(東京都・45歳・男性)

  • 役員たちの間で職務スタイル変更の案が出ない限り導入できません。(東京都・37歳・女性)

設備の問題やセキュリティが心配...。3位「インフラ整備」
  • 設備費や設置箇所の問題など、働き方改革に関するインフラ整備が一番の問題になると思っています。(埼玉県・27歳・男性)

  • インフラのための資金をどのように捻出すればいいのかわからない。(長野県・43歳・男性)

  • インターネットをインフラとした業務にはセキュリティ対策なども含めた整備が必要です。(香川県・48歳・男性)

いまの業務に反映できるか心配...。5位「実際の業務に活かせるか」
  • それをすることで、経費削減や利益につながっていくのかがポイントになる。(愛知県・43歳・女性)

  • インターネットや在宅系の仕事が多いためどこまで効果が出るかが懸念されます。(山形県・35歳・男性)

ワークライフバランスを考えた勤務システムの導入が理想であるものの、現実的にはさまざまな課題やハードルが立ちはだかります。多くの企業は、「業務に支障が出ないか」その点を懸念して改革の方向性を模索しているみたいです。リスクマネージメントもせずに導入を先走った結果、業務効率に影響が出れば本末転倒といえますし、現場の混乱も招きます。「テレワークを導入したけど、度重なる緊急ミーティングが生じて迅速対応できなかった」などの事態も生まれている点を考慮すれば、事前にシミュレーションしてリスク範囲を定め、防止策などを同時に検討することが大切です。

業種や業務内容によっては、働き方改革との相性が悪いケースもあります。サービス業などは顧客重視の姿勢が基本のため、システムの変更によるサービスパフォーマンスの低下がもっとも危ぶまれます。サービス業種でもフレキシブルに対応できるような制度設計も求められるでしょう。

既存システムの変更や、環境整備のための投資など、企業にとって乗り越えなければならない課題が多いのも事実です。導入が業務にとってどれくらいプラスとなるか判然としなければ、計画が持ち上がってもなかなか前に進めません。現実的な課題に対する対応策、導入のエフェクト、企業全体の取り組み状況など、指標となるべき情報の積極開示も重要です。

今回のアンケート調査で、働き方改革に対する企業の取り組み姿勢が分かったと同時に、経営サイドの意識や改革に向けた現実的な課題も浮き彫りとなりました。実際に導入に踏み切った企業の取り組み状況は、今後本格的な改革を目指す企業にとって良い指標となるでしょう。これまでの労働に対する意識も大きく変わりつつある以上、企業側も従業員の意向を尊重する経営方針が不可欠。「従業員も企業のお客様」(アンケートコメントより)と考える視点も重視して、必要な改革は前向きに検討してみてください。

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